
こよみでは立春を過ぎて何日かたちますが、まだまだ寒い日が続いています。
先日、小学校4年の息子の友達が何人か温泉寺に来てワイワイ遊んでいました。偶然彼らの遊んでいる部屋を通ったとき、おもしろい会話を耳にしました。「ケンカでもしているのかな?」と思うほどの口調で
「俺は3億人の中で生き残った1人だぞ!!」
と叫んでいました。最初は何のことかわかりませんでしたが、そばに保健体育の教科書が転がっていたので、「なるほど。保健の授業で人間が産まれてくるしくみをならったんだな。」と納得しました。
「俺は3億人の中で生き残った1人だぞ!!」
何だか微笑ましく、心地よい気持ちになりました。彼らがその意味をどういう具合に受け止めているのかは、わかりませんが、とりあえず「赤ん坊になれなかった2億9999人のためにも、これから先どんなことがあっても生きていくんだぞ!」とついつい余計なおせっかいを言ってしまいました。(笑)
その彼らとちょうど同じようなことを産まれた直後に言った方があります。お釈迦様です。
「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」
とおっしゃったのです。「この世の中に「私」という存在は「私」しかいない、この命は誠に尊いものだ」という意味でしょう。漢字をそのまままっすぐに直訳すると、この世の中でただ私一人のみが尊いのだ、という意味になりますが、これは間違いです。誰にでも、また人間以外のどんな生命体にも共通する「命の尊厳」を説かれたのです。
3億個の精子が、一つの受精卵になるために競争して、生き残ることができるのは、たった1つ。全滅の場合もあります。今、自分がこうして生きていることを、奇跡のように感じます。決して無駄遣いできない命の尊さを、子供達の会話が改めて教えてくれました。
最後に、京都・南禅寺の元管長・柴山全慶老師が素晴しい詩を残しておられますので、紹介します。
「一輪の花」
花は 黙って咲き
黙って 散っていく
そうして再び枝に帰らない
けれども
その一時一処に
この世のすべてを
託している
一輪の花の声であり
一輪の花の真(まこと)である
その日の心 忘れずに
婿や姑に きらわれもせず
永遠にほろびぬ
生命のよろこびが
悔いなく そこに
輝いている

臨済宗妙心寺派・醫王霊山温泉寺
下呂温泉と共に歩んできたお寺の歴史について

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