
東日本大震災から早くも2ケ月以上が経ちました。
ちょうど2ケ月目を迎える頃、5月9日・10日・11日と、東北地方へ赴くチャンスを得、大先輩の宮城県・禅興寺様を頼って、近隣の慈雲院様・地蔵寺様と共に行ってまいりました。
とは言え、自分たちが何処で何ができるか皆目見当がつきませんでしたので、あらかじめ禅興寺様に指示をいただき、微力ながら、気仙沼市・地福寺様にて瓦礫の仕分け作業をお手伝いさせていただくことができました。
道中、南三陸町を通りましたが、震災直後にテレビに放映されていたとおりの惨状を目の当たりにし、屋上に患者さんが避難されていた病院、最期まで町民に向け避難を促したという女性のおられた役場横の防災センターの鉄骨など、手を合わさずにおれませんでした。
また、この日がようやく小学校の始業式だったらしく、迎えに来たバスに乗り込む子供たちを見送る家族の姿がたくさんみえました。街が急に悲惨な光景に一変してしまい、不自由な環境の中でも笑顔を見せながら登校しようとしている子供たちを見て、久しぶりに人間のたくましさを感じました。家を失ったり、家族を失ったり、友達を失ったりで、不幸のどん底に突き落とされた子供達ばかりでしょうに、きっと将来強く生きていくことのできる大人に成長されていくのだと思います。
さて、私達一行が禅興寺様らと共に向かった先は、気仙沼市の地福寺というお寺でした。大字が波路(なみじ・・・と読むのでしょうか)という場所で、海岸から約1キロほど内陸に入った所に、去年新築なさって何とか持ちこたえた本堂だけが残されていました。皮肉にも地名の通り、全てが津波を受けてしまい、周辺は瓦礫だらけでした。以前は境内からは海が見えなかったそうですが、私達が参上した時には、何も無くなった住宅地の向こうに青い海が静かに広がっているのがよく見えました。
境内に散乱していた瓦礫を、業者さんに撤去してもらうため、私達は木材、粗大ごみ、瓦礫などという具合に仕分けしなくてはなりませんでした。気の遠くなる量でしたが、ちょうどその日は私達の他にも、全国から若い和尚さん方がお手伝いに来ておられ、総勢20名近くの人員で作業することができました。
作業中、何度も頭に浮かんだことは、下呂からせいぜい9時間から10時間ほど車を走らせただけの近い所で、こんなに世界が変わってしまっているという事実と、私どもはまた以前と何も変わらない生活に戻っていくのに、ここでずっと生きていかなければならない方たちがいるという事実でした。そこに共生・平等という言葉に対する矛盾を感じ、罪悪感さえ覚えました。
そんな中、午後3時の休憩に地福寺ご住職夫妻がお茶を出して下さいました。何ということもない世間話から、震災にてご自身が感じておられることまで、お話を聞くことができました。また、慌てて避難した隣の家屋の二階から携帯電話で撮影された、津波の第一波の引き潮の動画も見せていただきました。「速い!」と感じました。
特に印象的だったのは、お2人がとても淡々としておられ、私達の前だったからかもしれませんが、つとめて明るい表情をされていたことです。
「まさかこんな所まで津波が来るなんて、全く想像してなかったよねぇ。」
「ここがこんなに海に近かったなんてねぇ。」
という具合にとても気さくで、こちらに気を遣って下さっているような感じでした。
一方で最後に
「いろんな経験をさせてもらってます。皆さんのおかげです。お1人お1人の力が、本当に大きな力です。」
「お手伝いいただくためじゃなくても、是非この現実を多くの方に見ていただきたいと思います。」
と、私達を労って下さるお言葉と同時に、ただ、現実に起こったこと(自然と共に生きる厳しさ)を自分の眼で見てほしいという願いのお言葉をいただきました。
人間の力で、科学の力でもって自然の脅威に対抗するのではなく、その自然によって恩恵をも受けて生きている中で、どう人間は生きていくべきかを問われているような気がしました。そして「決してこのことを忘れてはならない!」という教訓をいただいたように思いました。
厳しいお言葉とは裏腹に穏やかな笑顔で話して下さるご住職夫妻にも、手を合わさずにおれませんでした。
まだまだ書きたいこと、伝えたいことはたくさんありますが、とにかく貴重な経験をさせていただきました。地福寺様のみならず、被災地の皆様方のご健勝をせつにお祈り申し上げます。
また、同じく被災されたにも関わらず、私共を快く受け入れて下さいました禅興寺様、禅興寺花園会青壮年部・女性部会長の石垣様に深謝申し上げます。

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