
今年の春はお彼岸になっても寒さが残り、4月に入っていきなり初夏の日差しが続き、最近はまた小寒い日が続いています。
それでも植物達は上手に気温の変動に対応して、庭が賑やかになってまいりました。本堂裏手に広がる通称「楓月庭」はモミジの新緑が鮮やかに輝き、水屋の水路にはワサビの花の他、ヒメシャガやシャガが咲き始めています。そして毎年5月から6月にかけて目を楽しませてくれる石楠花(シャクナゲ)も咲き始めました。ところが、昨年の夏の灌水不足、追肥不足がたたり、今年はあまりつぼみを持っていません。来年は約80本の石楠花が元気よく咲いてくれるように、この夏は燃えようと思います。
ところで、去る4月9日に、岐阜県立下呂特別支援学校が開校しました。昨年度までは、飛騨特別支援学校下呂分校でしたが、新たに小学部・中学部が設立され、高等部と共に下呂特別支援学校となったのです。
これまでは私個人的にも温泉寺としましても、特に関わりがあった訳ではありませんが、昨年でしたか、あるイベントにて生徒たちが、自分たちで作った物を販売している姿を見かけました。中には顔見知りの生徒もいたので立ち寄ったところ、販売されている物の精度の高さに驚きました。湯呑や小皿などの陶芸品、エコバッグやハンカチ・小物類など、一つ一つが丁寧に仕上げられていて、幾つか私も求めました。
その後、寺に持ち帰り、役員さん等に紹介させていただきました。とても好評で、とても生徒さんが作ったものとは思えないと、皆が驚きました。ある役員さんが、湯呑などの陶器を見て、それにモミジの葉の模様が入れば、「もみじ寺」温泉寺から支援学校を発信できるとの意見を出され、早速教頭先生に申し出たところ、その念願を叶えて下さったのです。
半年ほど経った頃でしょうか、ある方から支援学校の見学に誘われ、私も出掛けました。まず、教頭先生自らが生徒と共に作陶された湯呑・小皿・そして一輪差しを拝見し、その全てにもみじの葉が直接埋め込んでありました。また、それらの陶器が出来上がるまでの様子を拝見し、生徒さんが本当にひたむきに作業している姿を目にしました。素晴らしい!の一言です。
その後、地元の方の指導による「湯ケ峰太鼓」の練習を見学させていただきました。これもまた素晴らしい!
教頭先生曰く
「この子たちは、多少時間がかかるかもしれないが、何でもできるんです!」
本当に何でもできる生徒さんたちです。教頭先生自ら生徒を引っ張っていく根気ある指導力と、常に温かい眼差しで生徒に寄り添う先生方の優しさに、一生懸命生徒の皆さんが応えている姿を目の当たりにしました。
今年に入ってから、2月のまだ寒い日でしたが、その生徒さん達が温泉寺へ課外授業に来てくれました。本堂で温泉寺の紹介をさせていただき、その後本尊薬師如来へご挨拶のお勤め、そして坐禅・写経まで体験していただきました。普段の坐禅会では私が警策(坐禅中に喝を入れる棒)を持つことはありませんが、この日はやはり教頭先生の計らいで、ほぼ全員が(勿論先生方も・・・)警策を受けて下さいました。何でも挑戦させようとされる熱意が伝わってきました。写経も、それぞれに自分が気に入った言葉を選んで、元気よく書いてくれました。
4月の開校前でしたから、この子たちが高等部の上級生として、きっと素晴らしい下呂特別支援学校を作り上げるだろうと、確信しました。
温泉寺は臨済宗という教えを受け継いでいる寺ですが、その根源的な存在である中国の臨済禅師という和尚さんの言葉に「蔭涼」(インリョウ)という言葉があります。
「穿鑿(せんさく)して一株の大樹と成さば、天下の人のために蔭涼となり去ること在らん。」
一生懸命学び、経験を積み、一本の大樹となった時、きっとその人は人のために自ら木陰となり、自身が知らず知らずのうちに、暑さの中の涼しさを与える存在になるであろう。
と個人的に解釈しています。
開校式で、「誓いの言葉」また「湯ケ峰太鼓」の披露など、はつらつとした姿を見せてくれた生徒の皆さんは、きっと将来「蔭涼」となって、私たちに「暑さの中の涼しさ」というかけがえのないものを与えて下さるだろうと信じています。

臨済宗妙心寺派・醫王霊山温泉寺
下呂温泉と共に歩んできたお寺の歴史について

温泉街を一望する高台に位置する温泉寺の境内
敷地内の建物や場所のご案内
下呂温泉 醫王霊山 温泉寺
〒509-2207 岐阜県下呂市湯之島 TEL:0576-25-2465
© ONSENJI 2025 / このサイトの画像および内容を無断で使用・転載・複製することはできません。