
東日本大震災から1ケ月以上過ぎていますが、未だ復興の目途がたたない様子です。被災地の方々には心よりお見舞い申し上げます。
私自身も現地に赴く予定ですが、恐らく想像以上の惨状を目の当たりにすることは間違いないと思います。身につけるものは革で揃え、カッパやヘルメットなどを用意しています。とにかく瓦礫の撤去作業が進んでいないらしく、人手が何より必要とのことです。
振り返ると16年前の阪神・淡路大震災の時も、ちょうど学生でありましたので、2ケ月間の春休み(1月末~3月末)を利用して京都から神戸へ通いました。交通網がマヒしていたため、片道2時間以上かけて通い、瓦礫の撤去作業と仮設住宅に必要な物資の搬入をお手伝いさせていただいたことを思い出します。
あの時も気の遠くなるような毎日で、これからどうやって復興していくのだろうと、思っていました。今回は更に被災地の範囲が広く、地震の他、津波・原発事故と、トリプルパンチを受けています。しかし、16年前と今とでは自分の置かれている立場も違い、できることは非常に限られていますが、何よりみんなが普通の生活に早く戻れることを願っています。
先日、私たちの氏神様のお祭りがありました。祭礼だけでお旅行列は自粛しようという声もあったそうですが、今こそ復興祈願のために全てを例年通りにやらなきゃいけない!ということで挙行されました。
この氏神様のお祭りは神社の催しですので、私は毎年若干のご祝儀とお供えを用意するだけで、当番の時以外は寺に籠っております。今年はたまたま外で掃除をしていました。すると観光客の中の何人かが声をかけて下さいました。
その方たちは福島県から名古屋市内の親戚を頼って避難しておられるご家族でした。親戚の勧めで下呂温泉にお越しになり、久しぶりにゆっくりできたと喜んでおられました。
「下呂温泉も旅館のお風呂がいいだけで、他に何もありませんからねぇ。」
とお愛想で私が申し上げましたら、即座にこうお返事なさいました。
「そんなことありませんよ。普通にお土産物屋さんがある、喫茶店や飲食店もあるし、お寺もある。それより何より人がいる。これでいいじゃありませんか。いろんな人がそれぞれに生きている。他に何もいらないですよ。」と。
このご家族がお住まいだった街に、今は誰もいないらしいのです。
普通でいれることのありがたさ
これをしみじみと感じておられる様子でした。改めて私も痛感させられました。
その何時間か後、また同じご家族が、今度はわざわざ玄関にお越しになりました。何かあったのかなとお尋ねすると、
「今、たまたまお祭りのお旅行列を見てきました。観光客対象のイベントではない、所謂田舎の氏神様の祭典であろうと思いますが、そのお神輿の四方に復興祈願と大きく書かれていて、義援金箱もありました。こんな山奥の人たちも、私たちのことをちゃんと想ってくれているんだと感激しました。ありがとうございました。」
私はただの寺男で、このお祭りに直接関与していませんが、この言葉を聞いて嬉しく思いました。このことはお祭り関係者や地区の皆さまにも早速お伝えしました。
想いは必ず伝わる!これからも自分にできることを、小さなことでも続けていきたいと思いました。4月28日は震災から数えて四十九日目。未だ行方のわからない方も多くおられますが、被災して失われた多くの方々の命を偲び、追悼法要を予定しています。また2時46分より、追悼の梵鐘を多くの方についていただきたいと思います。
ご遺族の皆様にはあまりにも早い四十九日であったと思いますし、胸中にいろいろな想いをお持ちのことと存じます。しかしながら、共に生きていただきたいという願いもこめて、追悼の梵鐘を捧げたいと思います。

臨済宗妙心寺派・醫王霊山温泉寺
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