温泉寺家紋
ハチドリのひとしずく

私たち人間は、目と耳でいつの時代もその舞を楽しむことができますが、肝心の本尊様はご覧になったことがあるのだろうか・・・?と、常々思っておりました。すると一昨年でしたか、ある方から昭和元年当時の温泉寺の写真を拝見させていただきました。そこには茅葺屋根の本堂の前で踊ってみえる芸妓衆20名の姿がありました。なるほど、昔はこんなにおおらかだったんだな・・・と平和を感じるのと同時に、やはり薬師如来に対して誰もが敬虔な気持ちで信仰なさっていたんだと、改めて感じました。

その素朴な光景の復活は、昨年の下呂温泉まつり最終日の温泉感謝祭でした。観光協会様や旅館組合様などのご尽力でその光景を目の当たりにし、温泉場ならではの伝統文化に触れることができました。また、それを下呂ゆかりの寺でしていただいたことに対して、すごく有意義に感じました。

是非、この光景を大切にしたいと思い、今年は本堂内で奉納していただきました。いいものですねぇ~。檀信徒の皆さんの他、偶然境内にみえた観光客の方たちにもご覧いただき、多くの方から好評を得ました。

今、日本は次々と新しい歴史を作り上げています。先日のサッカーワールドカップの日本代表チーム、宇宙に飛び出す宇宙飛行士さんたちなど、いろいろな分野で活躍なさっている方たちに、同じ日本人の私たちは感動をもらい、日本人としての誇りを感じることができます。

私自身もそういうヒーローになりたいなぁ、でも自分には無理だなぁ、などと思いながら、じゃあ自分には何ができるかということを、いつも考えています。実際何も生産することができず、何も修理することができず、何も残すことができず、誰の助けもできず、何にも役に立たないのが、今の私の現状です。最近は家族にもよく言われてしまいます。家庭の役にも立たないうえ、僧侶の衣を身に纏いながら、やってることは破戒そのものですから無理もないですけれど・・・。

考えれば考えるほど、自分は何のために生きているのかと、不安になってしまいます。でもそんな時、卑屈になっている自分を立ち直らせてくれる本に出会いました。2・3年前にもこのページで紹介させていただいたことがあります。

ハチドリのひとしずく

~いま、私にできること~
監修・辻 信一 光文社

森が燃えていました。

森の生きものたちは、われ先にと
逃げていきました。

でもクリキンディという名のハチドリだけは
いったりきたり
くちばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは
火の上に落としていきます。

動物たちがそれを見て
「そんなことをして いったい何になるんだ」
と言って笑います。

クリキンディは こう答えました。

「私は、私にできることをしているだけ。」

このお話は南米アンデス地方に伝わるお話で、ハチドリとは、体長10センチほどの小さな鳥です。こんな小さな鳥のくちばしで運べる水の量は、ほんの僅かです。一見無駄なように思えるこの努力が、実はとても大切なことなんだと教えてくれています。 一人の努力が共感をよび、一人増え、二人増え、もしかしたら森の大火事が鎮火する可能性だってあるんです。

しかし解説によると、このハチドリの勇敢さや無限の努力のすばらしさだけを物語っているだけではなく、他の動物たちはそれぞれの家族を守ることを頑張っていたのかもしれない、水で火を消すことを知らずに他の方法を考えていたのかもしれない、仲間と離れずお互いを励ましあっていたのかもしれない・・・つまり、何が良くて何が悪いという問題ではなく、みんなそれぞれに生きている意味があって、無駄な努力などない!それぞれの立場でできることを精一杯やればいい!という結論です。

このお話はまさに自分のためのお話だと、たいへん私は勇気をもらいました。この社会の中で自分にできることは、ほんのわずかなこと。というより迷惑をかけることのほうが多いかも?と思う中で、その自分にも生きる意味が充分にあるんだと、素直になることができました。

新しい歴史を作り上げていく人達も勿論のこと、温泉寺で踊って下さった芸妓さんのように、日本独自の伝統文化を伝えて下さる方たちも、また、それに共感して下さる方たちも、みんな素晴らしいと思います。私も一緒に喜びを感じることができるだけで、何もできずとも幸せを感じます。サッカー日本代表が惜敗し残念だと、一緒に悔しさを感じるだけで、幸せを感じます。

この小さな幸せを教えてくれたのが、「ハチドリのひとしずく」でした。



温泉寺とは

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